鎌倉まで研修に行ってきました。鎌倉友禅の工房を見学させて頂きました。多くの工程を一人で担当し、全て手描きで作られています。
構想・図案→下絵付け→糸目糊置き→地入れ→色刺し(友禅)→蒸し→伏せ糊置き→豆地入れ・地染め(引染)→水元(友禅流し)・湯のし→仕上げ
一つ一つの工程を説明と共に見せて頂きましたが、非常に細かい根気のいる作業でした。また、染料など多くの化学物質が使われ、様々な科学的な技術が使われていました。例えば、豆地は豆汁(大豆を煮てできる汁)とふのり液を混ぜた液です。それを使って、豆地入れで染料液を生地に均等に浸透しやすくすると共に、染料液が伏糊の内側ににじみ込むのを防ぐ働きをします。また、染料液の移行速度を調整し、染めむらが出にくいようにする働きもあります。科学×技術、科学×伝統文化、科学×地域という形で、日本の伝統工芸にも深く科学が関わっていることを実感しました。
糸目糊置き:生地に柄の輪郭線を糊で挽いています。合成糊が使われています。
色刺(友禅):色のにじみを防止するために生地の裏からあぶるためのヒーターが設置された友禅机で、色を挿していく工程です。色を塗るというよりも、色を生地に染み込ませていくことから「挿す」という言葉が使われます。
伏せ糊置き:地色を乗せる際、色が混ざらないように色挿しした箇所にヘラで糊を置いていきます。
SDGs社会に即した伝統産業の形を目指すために、加賀友禅の化学染料の環境汚染の問題に取り組む研究などもされているようです。本NPOでも伝統工芸に貢献できる取り組みをしていきたいと思います。
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